Smiley face
後藤貴広さん。大学入試の過去問が載る赤本とともに=2024年2月28日午後2時26分、兵庫県宝塚市、中島隆撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 兵庫県宝塚市にある阪急逆瀬川駅。そのすぐそばにある商業施設の中に「学びの教室」がある。だれもが4時間半1100円で利用できる自習室を備える。受験をめざす人が1時間3300円で、数学や物理などについて室長を質問攻めにできる。

 平日のお昼すぎに訪ねると、教室をひとりで運営している後藤貴広さん(38)が机に向かっていた。

 利用者がいない時は、大学入試の数学の過去問を解いているのだ。「みなさんの貴重な質問タイムをムダにしたくない。だから、ひたすら解いています」

 利用者はいま、およそ30人。大阪からも来るし、不登校の生徒や大学受験をしたいという高齢者らも通ってくる。

 「どなたも大歓迎です」。後藤さんはいくつかの挫折をしながら、東大と京大の両方に合格した経験を持つ。

 大阪市に生まれた。外で遊ぶよりも、家でゲームやパズルをしていた。

 算数大好き少年に育つ。本人いわく、幼稚園のときの体重が36キロ。それが1年に約8キロずつ、右肩上がりの1次関数グラフのように増量していった。体育や美術が超苦手。内申書が悪すぎたので大阪府立の高校をあきらめ、ある私立進学校に進んだ。

 数学好きは止まらない。高校…

共有